シルクロードを放浪する老バックパッカーの想い出6/2 … 海外・WanderVogel
2021-08-23


禺画像]
首謀者とされたオサマ・ビン・ラディン率いる国際テロ組織アルカイダは、アフガニスタンに根拠地を持っていた。そしてそのアフガニスタンを広範囲に実効支配していたのがタリバンなのだ。アメリカ政府は、タリバンがアルカイダと連携し、保護していたとみなした。米軍による激しい空爆によって、同年冬にはタリバンは首都カブールを放棄し、これに代わって反タリバン勢力の北部同盟がふたたびカブールを支配下に治め、アメリカを主体とする国際社会の支援を背景に、同年12月にカルザイ大統領率いるアフガニスタン・イスラム共和国が発足した。

とは言え、各派その思惑が全く異なる者同士が単に反タリバンという旗印に集まっただけの組織である「北部同盟」に、国を導く力や理念などあるわけも無く、ただただ混乱しグダグダになることは解っていたことだった。
北部同盟主体の新政府が出来た後も混乱した国内情勢は一向に好転せず、政府内での不正と腐敗、ムジャヒディン諸派同士の足の引っ張り合いに終始し、アフガニスタン全土を実質的な支配下に置いていたのは相変わらずタリバンという有様だった。
そんな中、2019年に長年に渡って草の根的にアフガンの人々を支援し現地でも尊敬を集めていた中村哲医師が殺害されるという痛ましい事件まで起こってしまった。

2001年から今に至るまでの20年間、米国や国際社会が現政権を必死に支援し続けても、アフガンの民主化や治安状況の改善は一向に進まない。アフガン政府内に広がる腐敗や無能力ぶりはカルザイ大統領からガニ大統領に代わっても改善すること無く、見通しが立つことすら無い状況にアメリカ政府も完全に嫌気がさし、ついにアメリカ軍の完全撤退が実施されることとなった。

アメリカ軍の完全撤退は今年(2021年)9月11日までにとされているが、撤退の準備が始まるとタリバン勢力は政府正規軍と戦火らしい戦火を交えることも無く、あっという間に首都カブールを掌握、あっけなく陥落させてしまった。

今後、正式(?)にタリバン政権が樹立されることとなるのだろうが,報復という名の虐殺、民族差別による浄化作戦、無意味な破壊行為が各地で大規模に繰り広げられるのは必至であろう。

ふたたび悲劇は繰り返される。

- -

戻る
[旅/Backpacker]
[WanderVogel World]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット